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毎年起こる「想定外の水災」
近年、梅雨時期の6月から9月の台風シーズンにおいて、日本各地で「想定外」の「豪雨」や「大型台風」から起こる「洪水」「高潮」「土砂災害」により、「浸水」や「建物倒壊(半壊)」の被害にあっています。
近年の主な水災被害
「西日本豪雨」(2018年)
平成最悪の豪雨災害となった2018年の「西日本豪雨」では梅雨前線の停滞から長期間集中的に豪雨が降り、広島県、岡山県、愛媛県を中心に大規模な「土砂災害」や「浸水」が発生。死者224人、行方不明者8人、住宅全壊6,758棟、半壊10,878棟、一部半壊3,917棟、床上浸水8,567棟、床下浸水21,913棟など、甚大な被害が出ました。
この時にはダムが決壊する為ダムを放流する、しないなど連日ニュースでも取り上げられていました。
「台風19号被害」(2019年)
2019年台風19号では関東甲信越から東北までの広範囲で豪雨となり、阿武隈川や千曲川、都心でも多摩川が氾濫するなどして、大きな被害となりました。
死者91人、行方不明者3人、住宅全壊3,273棟、半壊28,306棟、一部半壊35,437棟床上浸水7,666棟、床下浸水21,890棟と、こちらも広範囲で大きな被害をだしています。
これらの様に、毎年、どこかで水害による大きな被害にあっています。
被害にあっているのはどんな場所?
国土交通省や市町村が発行している「ハザードマップ」で「浸水想定地域」として浸水想定されている地域で起こっています。
被害の多発で法律が改正
近年の「水害」の多発を受け、国土交通省は宅地建物取引業者(不動産業者)に対し、2020年8月28日より「水害リスク説明の義務化」を行うよう宅建業法を改正しました。
(改正ポイント)
不動産業者に物件購入前に
・「ハザードマップ」を使って
・どれくらいの大雨でどのくらいの浸水が想定されているか
・近隣の避難所はどこか
を説明する義務が課された
法律が改正されたから安心?
法改正したから安心かというと、そんなこともありません。
実は、この水害リスクの説明、契約の直前で行われるものです。
しかもこの説明も含まれている「重要事項説明」は不動産業者が不動産取引前(契約前)に義務づけられているもので、この水害リスク以外にも多くの説明があります。
難しい説明が多いため、しっかりと理解できずに契約してしまうケースも多分に考えられます。
水災リスクを避けるためには
水害リスクを軽減するには、物件探しの際から以下のことを確認しましょう。
水害リスクのあるエリア『土砂災害警戒区域』は検討しない
これが一番有効です。
国や市町村が出している「ハザードマップ」を確認し、浸水危険度の高いエリア、土砂災害の危険性のあるエリアは初めから検討しないようにすれば、水害にあう可能性がほとんどなくなります。
では、どうしても水害リスクのあるエリアで家を購入(建築)する場合はどうしたらよいのでしょうか。
水害リスクのあるエリアでも想定浸水深0.5メートル以下の浸水危険エリアを選ぶ
0.5メートル以下であれば、例えば一戸建てを建築する場合は「地盤」の高さ上げる、住宅の「基礎」部分の高さを上げる、などの対策により、床上浸水を防ぐことができます。
想定浸水深0.5メートル以上3.0メートル以内の場所であれば、マンションなどの2階以上を選ぶ
3.0メートルの浸水となったら、1階住戸は完全に水没します。
大雨が降る度に避難したり、緊張感をもたなくてはいけませんので、1階住戸は避けるべきです。
通常、階高(1階あたりの高さ)は3メートル以上ありますので、2階以上であれば、よっぽどのことがない限りは安心といえるでしょう。
マンションであれば、2階以上の住戸を選びましょう。
一戸建てであれば、とにかく基礎を高くし、1階は駐車場だけ、2階にリビングやお風呂などの水回り、ブレーカーを持ってくるように設計しましょう。
上記の場合でも、周辺で大規模な浸水が起こってしまった場合は、電気や水道などのインフラが止まってしまう場合もあります。
しっかり防災用具を備蓄しておくことが大切です。
火災保険に付随している「水災補償」に加入する
「ハザードマップ」も完璧なわけではありません。今やいつ、どこで「想定外」の水災被害に合うか分からない状況です。
水災被害が起こってしまったとしても、火災保険の「水災補償」に加入しておけば、「洪水」「高潮」「土砂災害」被害の補修費用が保険で支払われます。
しかし、床下浸水は補償外であるのと、建物のみ・家財のみの保険の場合はそれぞれの分しか補償がされませんので、しっかり内容を確認することが必要です。
特に、マンションの購入時には、火災保険の水災補償をつけていないものを提案されることが多くあります。
不動産業者や保険会社に提案された保険にそのまま加入するのではなく、しっかり自分で調べることが大切です。
さいごに
水災リスクは、軽減できるものです。
しっかりした知識を身につけて、水災危険度の高いエリアは候補から外すなどして、安心な物件選びをしていきましょう。