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企業の義務!?健康診断について徹底解説

健康診断は会社の義務!?

社員の健康診断実施は会社の義務なのでしょうか?

会社側(事業者)に義務があります!会社は社員(従業員)が1人でもいれば、健康診断を実施しなければなりません。

会社は、労働安全衛生法第66条に基づき、労働者に対して、医師による健康診断を実施しなければ なりません。

義務に違反した場合…

労働基準監督署から指導があります。

それでも指導に従わない場合はどうなりますか?

50万円以下の罰金が課せられます。

社員は健康診断を拒否できる!?

社員は健康診断を拒否することはできるんですか。

社員には受診義務あるため、忙しさや個人のプライバシー等を理由に受診を拒否することはできません。

労働安全衛生法第66条に基づき、事業主には従業員の健康診断を行う義務があり、

従業員は健康診断を受診する義務があります。

義務に違反した場合

労働安全衛生法は、社員の受診義務違反に対する罰則は設けていませんが、会社は健康診断の受診を職務上の命令として命じることができます。

それでも従業員が健康診断の受診を拒否する場合はどうなりますか。

その場合、就業規則に基づいて懲戒処分にすることができます。

健康診断の種類は?

職種に関係なく全ての事業者に実施が義務づけられている『一般健康診断と、

有害な業務に常時従事する労働者等に対し特別の健康診断を実施しなければならない

特殊健康診断』『じん肺健康診断』『歯科医師による健康診断』があります。

※なお、VDT作業、騒音作業、重量物取扱い業務、身体に著しい振動を与える業務等の特定の業務については、それぞれ特定の項目について、健康診断を実施するよう指針・通達等が発出されています。

特別の健康診断を実施しなければならない業務とは?🏥

特別の健康診断を実施しなければならない労働安全衛生法で定める有害な業務は以下になります。

実施時期は、原則として、雇入れ時、配置替えの際及び6月以内 ごとに1回(じん肺健診は管理区分に応じて1~3年以内ごとに1回)です。

特殊健康診断
・屋内作業場等における有機溶剤業務
・鉛業務
・四アルキル鉛等業務
・特定化学物質を製造し、又は取り扱う業務および過去に従事した在籍労働者(一部の物質に係る業務に限 る)
・高圧室内業務又は潜水業務
・放射線業務で管理区域に立ち入る者
・除染等業務
・石綿等の取扱い等に伴い石綿の粉じんを発散する場所における業務及び過去に従事したことのある在籍 労働者
じん肺健康診断
・常時粉じん作業 及び 従事したことのある管理2又は管理3の労働者 (じん肺法第3条、第7~10条)
歯科医師による健康診断
・塩酸、硝酸、硫酸、亜硫酸、弗化水素、黄りんその他歯又はその支持組織に有害な物のガス、蒸気又は粉じんを発散する場所に おける業務

一般健康診断とは?

職種に関係なく全ての事業者に実施が義務づけられている一般健康診断の種類は以下の5つがあります。

①雇入時の健康診断

②定期健康診断

③特定業務従事者の健康診断

④海外派遣労働者の健康診断

⑤給食従業員の検便

「対象となる労働者」と「実施時期」は?

健康診断の種類対象となる労働者実施時期
①雇入時の健康診断常時使用する労働者雇入れの際
②定期健康診断常時使用する労働者(次項の特定業務従事者を除く)1年以内ごとに1回
③特定業務従事者の健康診断労働安全衛生規則第13条第1項第2号(※1)に 掲げる業務に常時従事する労働者左記業務への配置替えの際、 6月以内ごとに1回
④海外派遣労働者の健康診断海外に6ヶ月以上派遣する労働者海外に6月以上派遣する際、 帰国後国内業務に就かせる際
⑤給食従業員の検便事業に附属する食堂または炊事場における 給食の業務に従事する労働者雇入れの際、配置替えの際

次項より人事部門として必ず知っておきたい「①~④」の内容について詳しく解説します。

一般健康診断5種類それぞれの具体的な健診項目は?

①雇入時の健康診断

雇入時の健康診断の健診項目は下記の11項目です。

雇入れ時の健康診断 (安衛則第43条)
既往歴及び業務歴の調査
自覚症状及び他覚症状の有無の検査
身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
胸部エックス線検査
血圧の測定
貧血検査(血色素量及び赤血球数)
肝機能検査(GOT、GPT、γ―GTP)
血中脂質検査(LDLコレステロール,HDLコレステロー ル、血清トリグリセライド)
血糖検査
10尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)
11心電図検査

常時使用する労働者」を雇い入れるときは、当該労働者に対し健康診断を行わなければならない。

「常時使用する労働者」とは?

1年以上使用する予定で、週の労働時間が正社員の4分の3以上の労働者。そのため、正社員以外の労働者も該当する。

加えて、週の労働時間が2分の1以上の場合も企業には努力義務が課せられています。

また、派遣社員については、実際の雇用主である派遣元に実施義務があります。

「雇入時のに健康診断」を省略できるときとは?

対象者が入社前3カ月以内に必須の診断項目を受けていて、その結果を会社に提出する場合には、この健康診断を省略することが可能です。

②定期健康診断

定期健康診断の健診項目は、雇入時健康診断とほとんど変わらない11項目です。違いは、雇入時検診では「4胸部エックス線検査」に対して「4胸部エックス線検査 及び喀痰検査」になります。

定期健康診断 (安衛則第44条)
既往歴及び業務歴の調査
自覚症状及び他覚症状の有無の検査
身長(※2)、体重、腹囲(※2)、視力及び聴力の検査
胸部エックス線検査(※2) 及び喀痰検査(※2)
血圧の測定
貧血検査(血色素量及び赤血球数)(※2)  
肝機能検査(GOT、GPT、γ―GTP)(※2)
血中脂質検査(LDLコレステロール,HDLコレステロー ル、血清トリグリセライド)(※2)
血糖検査(※2)
10尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)
11心電図検査(※2)
※2:定期健康診断(安衛則第44条)における健康診断の項目の省略基準

定期健康診断については、以下の健康診断項目については、それぞれの基準に基づき、医師が必要でないと認めるときは省略すること ができます。なお、「医師が必要でないと認める」とは、自覚症状及び他覚症状、既往歴等を勘案し、医師が総合的に判断することをいいま す。したがって、以下の省略基準については、年齢等により機械的に決定されるものではないことに留意して下さい。

項目医師が必要でないと認める時に左記の健康診断項目を省略できる者
身長20歳以上の者
腹囲1.40歳未満(35歳を除く)の者 2. 妊娠中の女性その他の者であって、その腹囲が内臓脂肪の蓄積を反映していないと診断 された者 3.BMIが20未満である者(BMI(Body Mass Index)=体重(kg)/身長(m)2) 4.BMIが22未満であって、自ら腹囲を測定し、その値を申告した者
胸部エックス線検査40歳未満のうち、次のいずれにも該当しない者 1.5歳毎の節目年齢(20歳、25歳、30歳及び35歳) の者 2.感染症法で結核に係る定期の健康診断の対象とされている施設等で働いている者 3. じん肺法で3年に1回のじん肺健康診断の対象とされている者
喀痰検査1.胸部エックス線検査を省略された者 2.胸部エックス線検査によって病変の発見されない者又は胸部エックス線検査によって結核 発病のおそれがないと診断された者
貧血検査、肝機能検査、血中脂質検査、血糖検査、心電図検査35歳未満の者及び36~39歳の者

雇用する従業員に対して、1年に1回のペースで定期的な健康診断を行う義務があります。

対象者は、雇入時検診と同じく「常時使用する労働者」です。

「常時使用する労働者」とは?

1年以上使用する予定で、週の労働時間が正社員の4分の3以上の労働者。そのため、正社員以外の労働者も該当する。

ただし、「③特定業務従事者の健康診断」の対象者である厚生労働大臣が定める特定業務従事者については、定期健康診断の対象者に当てはまりません。

③特定業務従事者の健康診断

深夜業などの特定業務に従事する労働者に対しては、当該業務への配置換えの際および6ヶ月以内ごとに1回、定期的に、定期健康診断と同じ項目の健康診断を行わなければなりません。


ただし胸部エックス線検査については1年以内ごとに1回、定期に行えば足りることとされています。

また、聴力検査については、「前回の健康診断において聴力検査を受けた者」又は、「45歳未満(35・40歳を除く)の者」は、医師が適当と認め る聴力(千ヘルツ又は四千ヘルツの音に係る聴力を除く。)の検査をもつて代えることができることになっています。

(※1)労働安全衛生規則第13条第1項第2号に掲げる業務とは?

イ. 多量の高熱物体を取り扱う業務及び著しく暑熱な場所における業務

ロ .多量の低温物体を取り扱う業務及び著しく寒冷な場所における業務

ハ . ラジウム放射線、エツクス線その他の有害放射線にさらされる業務

ニ . 土石、獣毛等のじんあい又は粉末を著しく飛散する場所における業務

ホ .異常気圧下における業務

ヘ .さく岩機、鋲打機等の使用によつて、身体に著しい振動を与える業務

ト .重量物の取扱い等重激な業務

チ .ボイラー製造等強烈な騒音を発する場所における業務

リ .坑内における業務

ヌ .深夜業を含む業務

ル .水銀、砒素、黄りん、弗化水素酸、塩酸、硝酸、硫酸、青酸、か性アルカリ、石炭酸その他これらに準ずる有害物を取り扱う業務

ヲ .鉛、水銀、クロム、砒素、黄りん、弗化水素、塩素、塩酸、硝酸、亜硫酸、硫酸、一酸化炭素、二 .硫化炭素、青酸、ベンゼン、アニリンその他これらに 準ずる有害物のガス、蒸気又は粉じんを発散する場所における業務

ワ .病原体によつて汚染のおそれが著しい業務 カ .その他厚生労働大臣が定める業務

④海外派遣労働者の健康診断

企業は、労働者を本邦外の地域に6月以上派遣しようとするときは、あらかじめ、当該労働者に対し、健康診断を行わなければならない。とされています。

1)海外派遣時の健康診断

企業は、労働者を日本国外の地域に、6か月以上派遣しようとするときは、あらかじめ、その労働者に対して、医師が必要であると認める項目について、医師による健康診断を行わなければなりません。

2)帰国時の健康診断

企業は、日本国外の地域に6か月以上派遣した労働者を日本国内における業務に就かせるとき(一時的に就かせるときを除く。)は、その労働者に対して、医師が必要であると認める項目について、医師による健康診断を行わなければなりません。

健康診断項目44条第1項に掲げる項目  医師が必要とする際に実施する項目 
既往歴及び業務歴の調査腹部超音波検査  
自覚症状及び他覚症状の有無の検査尿酸値
身長(※)、体重、腹囲、視力及び聴力の検査  B型肝炎ウイルス抗体検査
胸部エックス線検査 及び喀痰検査(※)血液型検査(ABO式、Rh式)(派遣前に限る)  
血圧の測定糞便塗抹検査(帰国時に限る)
貧血検査(血色素量及び赤血球数)
肝機能検査(GOT、GPT、γ―GTP)
血中脂質検査(LDL,HDL、中性脂肪)
血糖検査
10尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)
11心電図検査
※医師の判断により省略可

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